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試乗でわかった!ルノーが個性的な1台で激戦区「CセグメントSUV市場」に参戦した理由

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4月12日、ルノーから「CセグメントSUV」の新型車「KADJAR」(カジャー)が発売された。我が国の自動車マーケットの中でも最激戦区である「CセグメントSUV」にルノーが参戦する理由は何か? CセグメントSUVの中でルノーの個性とは何か? 実際に触れて確かめてみた。

家族持ちに待望の「ちょうどいいサイズ」

その前に現在のルノーのラインナップをおさらいしてみよう。現在日本ではコンパクトなAセグメントにTWINGO(トゥインゴ)、

日本において手頃なサイズのBセグメントにLUTECIA(ルーテシア)、
そのSUVヴァージョンともいえるCAPTUR(キャプチャー)、
大人4人がしっかり乗れるCセグメントにMEGANE(メガーヌ)と、
そのロングホイールベースヴァージョンMEGANE Sport Tourer GT、
そしてミニバンタイプのKANGOO(カングー)

という商品ラインアップ。ハッチバックモデルにはそれぞれルノーのスポーツ部門が手掛けたスポーツモデルが用意されている。
一見フルラインアップのように見えるが、大人4人がしっかり乗れて、かつ荷物も載せて、さらに走行性能も楽しめる、というモデルが今まで存在しておらず「ルノーが気に入っているけれど、サイズアップしたい際に、ちょうど良いモデルがなかった」のが実情。ミニバンのKANGOOは大きすぎるという人にピッタリなのが、CセグメントSUVのKADJARというわけだ。

ワイド&ローデザインの都市型SUV

KADJARは写真で見るとCAPTURとあまり変わらないように見えるが、実際に車体を見ると、かなり大柄でマッシヴな印象。標準的なSUVに比べて全高が20ミリほど低い設定とすることで、ワイド&ローな印象を与え洗練された印象の「都市型SUV」の形だ。とはいえ、国産車で流行している「クーペタイプ」ではないので、荷物の積載性は十分。いっぽう最低地上高200ミリ、アプローチアングルは18度、デパーチャーアングルは28度と走破性は疎かにしていない。

外観で目に付くのは、フロントのLEDライト。近年のルノー車に取り入れ始めているCシェイプと呼ぶデザインを採り精悍な印象を与える。

ホイールは19インチアロイで近年流行の銀と黒のツートーン。やや張り出したオーバーフェンダーと相まって、力強さを与えている。
ボディカラーは4色設定。

COLOUR PALETTE - FLAME RED

COLOUR SAMPLE - GLACIER WHITE

COLOUR SAMPLE - COSMOS BLUE

COLOUR SAMPLE - TITANIUM GREY

そのうち、白だけが特別塗装色として2万1600円高となる。

SUV用にチューニングした直噴ターボエンジンを搭載

エンジンはルノーではお馴染みの1.2リットル4気筒直噴ターボ。131馬力、トルク20.9kgmと2リットルクラス並のパワーを有している。組み合わせるミッションは7速のデュアルクラッチAT。同社ではEDCと呼ぶタイプで、変速ショックが少なく素早いシフトチェンジが特徴だ。いわゆるデュアルクラッチにはお国柄があり、ドイツ車はカチッ、カチッと変速した感を受けるのだが、ルノーはトルコンATのように滑らかにつながっていく気がする。もちろん変速した感はあるので、その点はご安心を。
排気量が1200ccということは、他社SUVに比べて自動車税が安価になるのも嬉しいポイント。CセグメントSUVの多くは2リットルであるため自動車税は年額3万9500円。それに対してKADJARは5000円安い。たかが5000円と笑うことなかれ、こういう出費は地味に効いてくるのだ。
エマージェンシーブレーキや、車線逸脱警報、後側方車両検知警報などの運転支援システムをメガーヌGTに続き搭載。縦列駐車やバックなどの車庫入れ時に、自動でステアリング操作を行うパーキングアシストも備えている。ただしこのアシスト、白線ではなく障害物で認識するタイプ。とはいえ両サイドに車が停車していない状態で、この機能を使うことはないだろうから、実用面で問題視する話でもないが念のため。

男性らしさを感じさせる上質な室内空間

車内はさすがCセグメントSUVといえる広さ。ダッシュボードの張り出しが少ないため、より一層の広さを感じさせる。社内はブラックで統一され、ところどころにアウトドアをイメージさせる加飾によって、男性らしさを高めている。
レザーシートは芯がありながら柔らかく身体をホールド。ルノーの伝統ともいえる疲れにくいシート設計は、長距離ドライブでも負担は少ないだろう。さらに前列にはシートヒーターも標準装備しているがうれしいポイント。操作系はカチッとしたフィールで好ましいのだが、シフトレバーに頼りなさを感じるのが残念なところだ。
センターコンソールには7インチのタッチパネルディスプレイを備える。しかしこのディスプレイはカーナビ用ではなく、運転支援システムをはじめとする車体のコントロール、そしてオーディオの操作用。カーナビとして利用する際は、手持ちのスマートフォンやタブレットと車両をUSB接続し、Apple CarPlay、Andoloid AUTOを利用すればよい。実際に手持ちのiPhoneで接続してカーナビを使ってみたが、この考え方は合理的だなと感じた。
使い勝手の良さ、荷物の積載性はSUVにとって重要なポイント。KADJARのラゲッジスペース容量は527リットルと、この手のSUVでは標準的なのだが、面白いのはラゲッジフロアに設けた2枚のボード。これらを立てることで、荷物を縦位置に、効率的に収納することを可能としている。これはなかなかのアイデアで、例えばビニール製の買い物袋など、崩れやすい荷物の収納に便利だ。

もちろん、シートを倒してフルフラットにすることも可能。その際にシート側ではなく、ラゲッジスペース側のボタン一つで椅子が倒れるのはアイデア物。シート側では手が届かない場合が多く、この方法はとてもユーザーフレンドリー。さすが年に3回、1週間以上の長期バカンスがあるフランスの車。利用者が長期旅行の脚としてKADJARを使うにあたり、何が必要なのかを心得ているのだ。

しっかりした手応え。長距離移動に適したSUV

運転席に座り、ブレーキペダルを踏みエンジンをスタート。小排気量車だから、結構エンジン音はうるさいのかな、と思ったのだが、車内は静粛。アクセルを踏めば、力強い加速が味わえ、手ごたえを感じる。ステアリングは重めで、しっかりとしたフィール。頼もしさを感じることだろう。メーターパネルはTFT液晶で5色に変更可能。視認性が高く実用的だ。

SUVというと、足回りは柔らかい傾向の車が多い。それは悪路走破性を考えてのセッティングであるのだろうが、例えば高速道路のつなぎ目などの段差を乗り越えた際、いつまでも振動がおさまらない時がある。KADJARはその点、SUVとしてはかなり硬めの部類に属しており、個人的には歓迎。振動はタイヤやサスではなく、シートで吸収するセッティング。いわゆるフランス車でイメージする猫足とはちょっと異なる。ロードノイズの少なさにも関心した。KADJARは、オフロードの走破性よりも高速道路を利用した長距離移動に重きを置いているのだろう。
さて今回、山中湖周辺で試乗を行ったのだが、コースは湖畔周辺の道路ではなく、三国山を抜けて御殿場につながる「山梨県道730号山中湖小山線、神奈川県道730号山中湖小山線、静岡県道147号山中湖小山線」、通称「三国峠」を利用した。道中の「山中湖パノラマ台」は富士山が美しく撮影できることから写真愛好家の間では知られているほか、起点・終点が富士スピードウェイに近いことから、クルマ好きの間でも有名な道だ。しかし富士スピードウェイに近い「静岡県道147号山中湖小山線」は路面の老朽化が進み、かなり荒れているうえに18%の急勾配や急カーブが多い難コース。路面に残ったタイヤ跡が、この道の難しさを物語る……。
大柄のボディに1.2リットルのエンジンを組み合わせたKADJARでは厳しかろうと思いきや、苦も無いどころか、軽快に往復してしまった! 後で知ったのだが、KADJARの車体重量は約1.4トン。他社同クラスのSUVに比べてかなり軽量なのだ。だから峠道でも走りが楽しめる。走りの楽しさは、ルノー車の魅力の一つ。SUVでもこの血は流れていることに嬉しくなった。ちなみに自動車重量税も他のSUV(2t以下)に比べて安価といえそうだ。

使い勝手の良さに走りも楽しませる、長距離移動に適した一台

昨年から今年にかけてルノーは日本市場にスポーツを意識させるモデルを3車種導入。そして今後、HondaのCIVIC Type Rと「FF最速」の覇を争う「MEGANE R.S.」が登場する予定だ。ルノーのスポーツモデルは、サーキットで1秒を争う限界に挑戦する物もあれば、ワインディングを走るモデルもあるが、どれもお洒落にスポーツを楽しむという余裕を感じさせる。これはスポーツウェアでいえば「le coq sportif」(ルコックスポルティフ)の世界観にも似て、それがレジャー大国、バカンス大国であるフランスのお国柄なのだろう。この風土が、スポーツ・ユーティリティ・ビーグル(SUV)にも生きていることが今回の試乗で理解した。ルノーがCセグメントSUV市場に出した答えは、単なるファッション車ではなく、使い勝手の良さに走りも楽しませる、長距離移動に適したKADJARであった。

アドセンス




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